はじめに
健康づくりに大きな関心が寄せられています。運動、栄養、休養と健康づくりにはいろいろな要素があります。これに関連してスポーツを楽しむ人が増えてきました。しかし、スポーツにはケガが伴うことがあります。学校でもいろいろな活動でケガをします。あまり知られていませんが、ケガのなかで、歯や口のケガがもっとも多いと報告されています。
もしも歯や口にケガをしてしまった場合
口のまわりや歯を折ったり、歯が欠けてしまった場合はすぐにかかりつけの歯科医に連絡してください。また、出血が止まらない場合は速めに治療を受ける必要があり、かかりつけの歯科医か救急医療機関の歯科(トヨタ地域医療センター、加茂病院歯科口腔外科、トヨタ記念病院歯科口腔外科など)にご連絡ください。
また、歯が抜けてしまった場合はそのまま抜けた歯を乾燥させないように、学校の場合は保存液に保存して、保存液がない場合は牛乳につけておくか、それもない場合は口の中に入れて、24時間以内にかかりつけ歯科医を受診するか、救急病院歯科で治療を受けてください。
マウスガード:口や歯にケガをしないために
一般にサッカー・ラグビー・バスケットボール・空手などのコンタクトスポーツでは、競技中に歯を折ったり、顔や顎や口の中に怪我をすることが多いと言われています。顎・顔面・口腔の外傷発生率が高いといわれています。マウスガードは口腔内に装着する保護装置で顔面や歯、顎骨などに加わる衝撃を和らげ、競技中に起こる怪我を防ぐとともに競技を安全におこなうためのものです。スポーツ歯科診療を行っている歯科医院ではケガの予防のためのマウスガードの製作や、歯や顎などのケガの治療を行っています。
マウスガードは口の中の保護装置で、マウスピース、マウスプロテクターなどと呼ばれています。マウスガードは外力から顎や口のまわりへの衝撃をやわらげ、歯の破折や顎の骨折、口の中・口の外の軟組織のケガを予防するものです。脳震盪の予防にもなると考えられています。マウスガードは上顎の歯につけることが多いですが、スポーツの種類などによっては下のほうだけ、あるいは上下につけることもあります。)
最近普及しつつあるのがカスタムメイドのマウスガードです。これは歯科医師が歯型をとり、歯並び、かみ合わせ等を考慮して、競技者個人個人に適した形で作製するもので、歯・顎・顔面の外傷予防および衝撃の緩和、口腔組織・顎関節の保護、脳震とうの予防・軽減の点でより効果的で、しかも装着感が優れていることから、競技中に装着していても呼吸や発音などに困難を来たすことが少ないという利点があります。また、運動能力や競技力が向上するという報告もあります。
マウスガードの材料として緑・青・黄・透明など各種の色が揃えられており、お好みに合わせて選択が可能です。なお、スポーツ選手は運動中に強く歯を食いしばることが多いといわれています。このため長く使っているとマウスガードが磨耗・破損し、合わなくなってくることがあり、年に1~2回は歯科医師によるチェックを受け、使っているマウスガードの調整を行なったり、場合によっては新しく作り替えることをお勧めいたします。
注意:競技者が自分で作る簡易型の市販品もありますが自分の歯型や口に合わせることが難しいです。これらはスポーツ用品店などで販売されていますが、口をあけると落ちてしまったり、正しいかみ合わせが出来ないために顎関節を痛めたり、かえって危険なことがあります。また、このタイプのものはケガの予防効果が低いばかりでなく、装着感が悪いため、話しづらかったり、呼吸しにくかったりと長く使うことがなかなか難しいようです。まだこのようなマウスガードを使っている人が多いのが現状です。
愛知県歯科医師会では、マウスガードの普及に努めていますので、かかりつけの歯科医院にご相談ください。